レポート

第2回 NEW CONFERENCE
女性経営者等の活躍に向けた会議~女性社長が動かす東京の未来~

分科会3:ニッチなビジネスアイデアで挑戦する
ニッチと思って始めたことも、いきなりメジャーになる瞬間がある

他にはないユニークなビジネスアイデアを事業化し、挑戦を続ける5人の女性起業家が登壇。ニッチなビジネスアイデアはどこから生まれるのか、着想を事業化するには何が必要か、起業する際の資金調達や人財は?など、それぞれの経験に基づき議論しました。

アイデアを思いつく人はたくさんいるが、起業までしてビジネスにする人は少ない――。では一体、何をきっかけに事業化に踏み切ったのか。ファシリテーターのWAmazing株式会社代表取締役社長の加藤史子氏が問いかけると、下の子どもが生まれた頃から「発明で一攫千金を目指してまして」と口火を切った株式会社ナビットの福井泰代氏。ベビーカーを押して駅に行ったとき、「事前にエスカレーターやエレベーターがどこにあればいいかわかるといいな」と思いつき、「のりかえ便利マップ」を開発。特に起業の意思はなかったが、「会社にしないと取引しない」と言われたことをきっかけに、「1年やってダメだったらやめる」約束で起業します。

未利用資源を発酵させてサステナブルなエタノール(アルコール)を製造・提供しているファーメンステーションの酒井里奈氏は、「エタノールに対する常識を覆せば評価してくれる人がいると思ったのがきっかけです」と答えました。バイオ燃料用に米からつくられたエタノールを、「化粧品に使えるのでは」と思ってオーガニック化粧品の展示会に岩手の米農家の佐藤さんの米で作ったエタノールを持って行き、出展者に見せたところ、「由来のわかるエタノールあったら買います!」と言われ、その言葉で事業化できると思ったとか。

株式会社Stroly代表取締役社長 兼共同CEOの高橋真知氏は、アナログ地図をデジタルで見て街歩きの体験を提供するサービス「Stroly」の構想を初めて思いついたとき、「まず自分自身がすごく面白かった」、それでいろいろな人の感想を聞いたところ、「今まで見たことない新しい体験というのを感じてくれた」ことが、きっかけの一つだといいます。

「ちょっとお店を開いてみたいというような人のために、最初のスタートのハードルを下げることで、誰でも簡単にチャレンジできる世の中を作ることができたら素晴らしい」。そんな思いが事業化のきっかけと言うのは、軒先株式会社代表取締役でスキマハンターの西浦明子氏。不動産の物理的・時間的隙間を有効活用する、スペースシェアリングのサービスを提供しています。

続いて話題は、アイデアを実現するためのステップとして、ビジネスコンテストやピッチ、アクセレータープログラムをどう活用してきたのか、という点に及びます。加藤氏、酒井氏、高橋氏はアクセレータープログラム「東京都女性ベンチャー成長促進事業APT Women」に参加。海外に行ったり、長い期間同じ起業家の人と一緒に過ごすことで、「スタートアップより中小企業だと思っていた」ところ、「もうがんがん短い期間でガーっと攻めるよ、スケールするよみたいな人を真横で見て、大きなきっかけをもらった」と語る酒井氏。さらに、投資家などを前にプレゼンするピッチについて高橋氏は、事業を徹底的にまとめなおす経験が、「2分で自分の事業説明できるって自信になった」と説明。さらにいくつかのピッチで優勝をしてきた加藤氏は、「ピッチは投資家や事業会社にアピールして事業提携や資金調達につながる」とメリットを語ります。実際に業務資本提携を目的に、大企業のアクセラレータープログラムに応募したこともあるとか。

後半の質疑応答では、「事業に向けるモチベーションの原点は?」、「アイデアをビジネスとして形にするとき、どうやって人やお金を集めたか?」、「チームメンバーを選ぶポイントは何か」など、核心に迫る質問が続々。真摯なディスカッションとなりました。

最後に一言。福井氏は、「嫌だなと思ったら、そこにビジネスチャンスがある!」と発明学会で教えられた言葉に力を込めます。西浦氏は、「自分がニッチと思って始めたことも、周辺環境が変わって来ていきなりメジャーになる瞬間がある。ということも頭に置きつつ事業をすると面白いと思います」

そして加藤氏は「資金調達も実は営業なんです。自分のビジネスプランや作りたい世界観に対して信じて共感してくれる投資家を集める活動なので、投資家に5人会ってダメでもその次の投資家に会いに行くメンタルの強さが大事。“捨てる神あれば拾う神あり”ということを実感する場面もあるかもしれません」。行動することによって道を開くという、会場の皆さんの背中を押す力強く温かい言葉とともに、クロージングとなりました。

加藤 史子
WAmazing株式会社 代表取締役社長CEO

慶応義塾大学環境情報学部(SFC)卒業。リクルートにてインターネットでの新規事業立ち上げ(じゃらんnet、ホットペッパーグルメなど)に携わった後、2008年より観光産業と地域活性のR&D部門じゃらんリサーチセンターに異動し、主席研究員として調査研究・事業開発に携わる。フリーミアムの若者需要創出プロジェクト「雪マジ」を立ち上げ、スキー需要をV字回復させたほか、ゴルフ市場や温泉地域などの活性化へも横展開する「マジ☆部」を立ち上げた。2016年7月、訪日外国人旅行者による消費を地方にもいきわたらせ、地域の活性化に資するプラットフォ-ムを立ち上げるべくWAmazing株式会社を創業。19年、Morning Pitch Special Edition 2019最優秀賞受賞。

高橋 真知
株式会社Stroly 代表取締役社長 兼
共同CEO

小学校からアメリカで過ごし米国Carleton College美術学部卒。アートとITの融合に関心があったためITベンチャーに入社。その後、関西学研都市の基礎研究所(ATR)にてミュージアムメディア事業部を立ち上げ、2007年にATR Creative代表取締役社長に就任。マップで新しい体験を提供するサービス「Stroly(ストローリー)」を事業化するため、2016年に会社をMBOして独立。社名を株式会社Strolyに変更し本社を京都に移転。代表取締役社長兼共同CEOに就任。第4回京都女性起業家賞・近畿経済産業局長賞受賞。2018年には東京都主催APT Womenの1期生に選出されたことをきっかけに東京オフィスを開設。2019年は、海外初としてSXSWオフィシャルマップを運用し、さらにSXSW Pitch 2019ファイナリストに日本唯一の企業として選出された。

酒井 里奈
株式会社ファーメンステーション
代表取締役

国際基督教大学卒業。富士銀行、ドイツ証券などに勤務後、発酵技術に興味を持ち、東京農業大学応用生物科学部醸造科学科に入学、2009年3月卒業。同年、株式会社ファーメンステーション設立。研究テーマは発酵技術を用いた未利用資源の有効活用技術の開発。現在、岩手県に製造拠点、ラボを保有し、東京と岩手を往復する生活を送っている。好きな微生物は麹菌。好きな発酵飲料はビール。第3回DBJ女性新ビジネスプランコンペティション特別賞「地域イノベーション賞」、ブリティッシュ・ビジネス・アワード(BBA)2014年 Community Contribution 等を受賞。リバネステックプランター アグリテックグランプリ、2018年 新日鉄住金エンジニアリング賞、JR東日本スタートアップ 2018年 青森市長賞受賞。

福井 泰代
株式会社ナビット 代表取締役

1965年生まれ。88年成城大学経済学部を卒業後、キヤノン販売入社。91年、結婚・出産を機に退社。97年有限会社アイデアママ設立。98年「のりかえ便利マップ」が営団地下鉄、都営地下鉄、ぴあなどに採用される。2001年、株式会社ナビット設立。全国の鉄道研究会とSOHOスタッフ58,100人体制で、交通と地域に関わる定期的なデータ収集、調査、コンテンツ制作、企画、システム開発を行う。主なサービスとして、全国約680万件の情報を収録する法人電話帳、助成金・補助金の検索サービス「助成金なう」、チラシ特定情報検索「毎日特売」サービス、在宅ワーカー支援サイト「Sohos-Style」、その他各種コンテンツサービスや、交通機関のデータベースを大手プロバイダーへ提供している。国土交通省の交通政策審議会専門委員を在任中。2児の母。

西浦 明子
軒先株式会社 代表取締役
スキマハンター

大学卒業後、ソニー株式会社等での勤務経験を経て、2007年の妊娠・出産を機に起業を決意。2008年4月に日本初のスペースシェアリングサービス「軒先」代表としてサービスを開始、2009年に軒先株式会社を設立。ポップアップ向けスペースシェアの“軒先ビジネス”、駐車場シェアの“軒先パーキング”を運営。2017年総務省ICT地域活性化大賞・奨励賞受賞。現在、「スキマを照らす。」をコーポレートミッションとして全国の遊休スペースの活用提案に奔走。一般社団法人不動産テック協会の理事も務める。

開催日時 令和元年11月30日(土)13:00~19:30
会場 品川プリンスホテル プリンスホール
東京都港区高輪4-10-30 品川プリンスホテル アネックスタワー5階
参加対象 企業・団体の代表者と経営層、個人事業主など(男女不問)

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