セミナー

TOKYO女性経営者塾 by N E W
第3回 女性社長へ、社会のためにも、会社を成長させませんか?

日時 2022年9月14日(水)15:00〜17:00
講師 株式会社ウィズグループ 代表取締役
一般社団法人ヘルス・アンド・ウェルビーイング・アライアンス 代表理事
奥田 浩美
進行 株式会社イー・ウーマン 代表取締役社長
株式会社ユニカルインターナショナル 代表取締役社長
佐々木 かをり

スケールアップとは売上や従業員数の拡大だけでなく、
社会にインパクトをもたらすこと

女性経営者にとって、課題のひとつとして挙げられるのが「スケールアップ」です。今回は、(株)ウィズグループなど4つの企業を立ち上げている奥田浩美さんを講師に迎えました。スタートアップ育成支援など国内外で多彩な事業を展開しながら、会社を成長させていくその意義とは? これまでの道のりとともに、その哲学を伺っていきます。

片足ずつしかつかない人生。常に、次へ向けての着地を視野に

「他では聞けない、私が経営している会社の“本当の実情”をお話しします」
そう口火を切った奥田さん。セミナー参加者たちもビデオをONにして参加し、あふれる笑顔と熱意のなかでセミナーがスタートしました。

30年以上にわたり事業を拡大してきた奥田さんですが、実は大学時代に大きな挫折を味わっています。インドへ留学して2年半、社会福祉の修士課程に身を置いたものの自分の意見をうまく伝えられず、劣等感にさいなまれる日々。1989年に帰国した奥田さんを待っていたのは、ITという新しい波でした。
「強烈な言葉を覚えています。『ITは世界をフラットにして、みんなを救っていく。平等が訪れ、素晴らしい世界になる』。福祉の世界にいたからこそ、ITという世界に飛び込むことができました」

1991年、26歳でIT特化のカンファレンス事業を立ち上げ、大成功を収めるというパワフルなスタートを切った奥田さん。2001年にウィズグループを設立してアクセラレータの運営などへと幅を広げ、2013年には地域の社会課題にITで取り組む「たからのやま」、2020年にはヘルスケア領域のスタートアップを支援する「ヘルス・アンド・ウェルビーイング・アライアンス」を設立という着実な成長を遂げていきます。

「私の行動指針としているのが、『片足ずつしかつかない人生』。次はどこに片足をつこうか考え、今の時代につくべきところにつく。ついたらもう片足を外す。自分が、世界の最初の変化そのものになる。これが、私個人の大事にしていることです」

大切なことは社会へのインパクト。自分の“適切な規模”を見極める

ここからは、具体的な事業紹介です。ウィズグループのメインは、社会ムーブメント形成を担うイベントマーケティング。さらに新規事業創出・起業家育成、スタートアップエコシステム形成など、一言でいえば「変化を生み出す会社」であると語る奥田さん。また、「30年のリアル」として、さまざまな企業の栄枯盛衰とともに顧客が変化してきたことを示す事業実績がシェアされました。
「企業のイベント関連の事業部で一定のムーブメントが続くのは数年。私たちは常に3、4年ごとにビジネスを見直し、新しいところとお付き合いしています」

そして30年を振り返って実感した「会社であることの価値」について、4つのポイントを上げました。
「一つは社会的信頼。個人でも信頼は得られますが、『与信』につながるためには一定の規模が必要です。次に、リスク分散。私の会社は11人で回しており、コロナ禍でイベント事業が7割なくなりましたが、若い世代が配信などの事業で支えました。3つ目はダイバーシティ。外国人、色々な世代、介護をする人など、自分の会社が社会の縮図でなくてどうすると思っています。そして資金力。大きなプロジェクトが行え、安定した雇用が生み出せます」

さらに「スケールアップとは、売上金額と従業員数だけではなく、社会にインパクトをもたらす適切な大きさ」と力強くコメント。
「皆さんがやろうとしている事に対して、本当に自信を持って、良い規模の会社にしているかどうかを考えてほしいと思います」

成長に必要なエコシステム。重要なのは、応援される価値

奥田さんは続いて、「会社の成長とは何か」と問いかけます。
「新しい人を入れたところ、売上が1.5倍くらいに伸びた年がありました。その人が私たちのできる範囲ではない仕事を『これもやりたい。あんなこともやりたい』と、どんどん取ってきたのが大きかった。ものすごい失敗もしましたが、自分ができることだけをやっていても会社は成長しないという学びになりました。色々な目線、志の違いを集めていって、伸ばすのが会社の成長なのかなと」

また、「自分が見た風景以上のものは描きにくい」として、26歳で最初に起業した際のイベント予算が億単位だった経験を語ります。
「そういう経験があると、大きなものを目指していけます。あとは、特定分野の強みを見つけること。VCは、強みがない会社には投資しません」

最後に、「スタートアップから成長するには、これだけたくさんのエコシステムが必要です」と、国・自治体、メディア、スタートアップイベント、アクセラレータなど多彩な要素が示されました。

「成長するためには、『応援される価値』が大切。みなさんの企業が応援される価値があるかということに向き合ってください。私もすごく巨大な企業を経営しているわけではないので、たくさんの方に応援される事業を進めていこうと思います」

社会を動かす経営者として、誰に対しても誠実であるために

後半は、佐々木かをりさんが進行を務めるトークショーです。奥田さんの言葉を受けて、「どうやって、応援される会社にしていきましたか?」と真っ先に尋ねる佐々木さん。「私の強みは喜怒哀楽の感情を差別せず、悲しみや怒りもポジティブなことと同じくらい大切にして相手に届けること。相手が政府でも佐々木さんでも、中学生でも変わりません。それが応援されるひとつの理由かも」と奥田さんが笑顔で答えます。

「いわゆるインテグリティということですよね。“キレイごと”のマーケティングの時代があったけれど、2000年頃からエモーショナルマーケティングという言葉も使われるようになって、誠実であることが人を惹きつけていますね」と佐々木さんもうなずきます。さらに、日本と海外における女性経営者の違い、資金についての考えなどへ話題が展開していきました。

参加者からの質問タイムでは、「顧客から自分に指名が来てしまい、スタッフに仕事を振りづらいので事業を拡大できない。どう解決したら?」「男性から『女は面倒』と思われずに応援してもらうコツは?」「小さい企業だから応援されていたこともあり、事業が順調だと嫉妬されることも。スケールすることのメリットがあるのか迷う」……女性経営者ならではの様々な課題に対し、お二人が真摯に、そして力強く答えていきました。

最後に「参加してくださっている皆さんもぜひ仲間になって、一緒に歩いて行けたら」とエールを送る奥田さん。画面に集合した皆さんが笑顔で拍手を送り、ここからはネットワーキングです。数人ずつに分かれて感想を語り合い、楽しく情報交換を行い、充実のセッションでセミナーが終了しました。

奥田 浩美
株式会社ウィズグループ 代表取締役
一般社団法人ヘルス・アンド・ウェルビーイング・アライアンス
代表理事

ムンバイ大学(在学時:インド国立ボンベイ大学) 大学院社会福祉課程修了。1991年にIT特化のカンファレンス事業を起業。2001年に株式会社ウィズグループを設立。2008年よりスタートアップ育成支援に乗り出し、スタートアップエコシステムビルダーとしての活動を開始。2013年には過疎地に「株式会社たからのやま」を創業。地域の社会課題xITで何が出来るかを検証する事業を開始。地域の社会課題の現場に身を置くワークショップ「破壊の学校」という活動も行っている。 2020年に一般社団法人ヘルス・アンド・ウェルビーイング・アライアンス(HAWA)を設立し、ウェルビーイングのビジネスインキュベータープログラムのWOMBを展開中。委員:環境省「環境スタートアップ大賞」審査委員長、経産省「未踏IT人材発掘・育成事業」審査委員、厚労省「医療系ベンチャー振興推進会議」委員等 著書:会社を辞めないという選択(日経BP社)、人生は見切り発車でうまくいく(総合法令出版)、ワクワクすることだけ、やればいい!(PHP出版)

佐々木 かをり
株式会社イー・ウーマン 代表取締役社長
株式会社ユニカルインターナショナル
代表取締役社長

ダイバーシティの第一人者。1996年から日本最大級のダイバーシティ会議「国際女性ビジネス会議」を企画・プロデュース、2000年から「イー・ウーマン」サイトを中心にダイバーシティ関連のコンサルティングおよび研修・講演。組織の多様性と成長性を分析する「ダイバーシティインデックス」を開発。また、内閣府男女共同参画会議、厚生労働省をはじめ多くの政府審議会等の委員を務める。世界銀行「女性起業家資金イニシアティブ(We-Fi)」日本代表。日本代表としてAPEC、OECD等国内外での講演も通算1,700回以上。これまで東京大学、上智大学など複数の大学、高校等で教鞭を執る。また、「アクションプランナー」と佐々木メソッドによる時間管理術は日本の時間管理・手帳ブームをつくり毎月の講座も「人生が楽しくなる」と人気。テレビ朝日「ニュースステーション」レポーター、TBS「CBSドキュメント」アンカーなど歴任。現在もテレビ、雑誌、新聞等のコメンテーターを務める。2009年ベストマザー賞受賞。2021年「ブルガリ アウローラ アワード2020」受賞。神奈川県横浜市生まれ。上智大学外国語学部比較文化学科卒業。米国ニューヨーク州エルマイラ大学に留学。2008年名誉文学博士号授与。2児の母。