セミナー

TOKYO女性経営者塾 by N E W
第4回 ダイバーシティ化へ向けた女性経営者の責任

日時 2022年11月1日(火)15:00〜17:00
講師 株式会社 Melanie Brock Advisory 代表取締役社長
メラニー・ブロック(Melanie Brock)
進行 株式会社イー・ウーマン 代表取締役社長
株式会社ユニカルインターナショナル 代表取締役社長
佐々木 かをり

日本ならではの障壁を乗り越え、
ダイバーシティを経済効果へつなげるために。

ダイバーシティ経営に取り組むことは、企業価値を高めること。女性経営者は、そのためにどんな責任を果たせばよいのでしょうか。今回は、オーストラリア出身で日本を拠点に活動するメラニー・ブロックさんを講師に迎えます。ビジネスコンサルタントとしてグローバルに活躍するなかで感じた日本の課題、そして、ダイバーシティ推進に向けたビジョンとは?

16歳で初来日。日本の文化にふれ、女性活躍支援をスタート

オーストラリアから日本へやってきて40年以上。現在、株式会社Melanie Brock Advisory 代表取締役社長を務めるほか、複数企業の社外取締役、ANZCCJ(在日オーストラリア・ニュージーランド商工会議所)名誉会長としても活躍するメラニーさん。「日本に長く住む立場から、日本におけるジェンダー、そして今後は女性たちがどのような役割を担っていくのかを考えていきたいと思います」と口火を切り、セミナーがスタートしました。

1982年、16歳でロータリー・クラブの交換留学生として初来日し、青森県八戸で暮らしたメラニーさん。茶道体験や、慣れない箸で食事をした当時の写真を楽しくシェアしながら、「この時に出会った皆さんとは、今もお付き合いが続いています。八戸での暮らしは、私にとってとても重要な経験でした」と振り返ります。大学卒業後は大阪の大使館で通訳を務め、バブル景気で世界各国を飛び回る日々。そこで身につけた知識と交渉術を基に日本で食品輸入会社を立ち上げたのが、メラニーさんの最初の起業となりました。

2人の息子を持つシングルマザーとなっていたメラニーさんは、お互いに助け合えるママ友との出会いや、オーストラリアで「女性活躍はいろいろな経済効果を生み出す」と提言して活動するサム・モスティンさんとのつながりから、日本の女性たちの生き方について関心を持つようになります。現在は「WOMAN OF JAPAN」と題したサイトを通じ、様々な世代の女性たちの活躍を世界へ発信しています。

コストの高さや煩雑な手続きが、チャレンジを妨げている

女性たちの活躍を後押しするメラニーさん。そのなかで感じてきたことについて、日本の開業率が欧米各国に比べて非常に低いというデータとともに語られます。
「日本は開業しようとするとコストが高く、手続きの数が多くて日数がかかり過ぎるなど、様々な障壁があります。自分の売りたいサービスや商品があって市場に合うと考えても、その障壁がモチベーションを下げていくことになります」

さらに、海外企業による日本進出にも大きな壁があると言います。世界で3番目の経済国であり、市場規模の大きさに魅力のある日本ですが、ここでも家賃や人員コスト、手続きの煩雑さが起業家を悩ませているとのこと。

女性に限らず誰にとっても、起業しやすいとは言えない日本。多様性を進めるには、どんなことを乗り越えなければいけないのか。メラニーさんは自身の経験から、日本ならではの課題を投げかけます。
「未だに男性中心の社会、政治、自治体で、男性のみが意思決定をしていること。配偶者所得など抜本的な改善が進まず、女性の進出を妨げていること。雇用の流動性のなさなど、様々なことにチャレンジしていかなければなりません」

変えなければいけない社会の課題、そして個人ができること

課題を乗り越えるために語られたのは、メラニーさんのビジョンです。「決定権を持つ場所に女性がもっと必要!」と、力強いキーワードを示します。
「国会だけでなく自治体、中小企業、様々なところで、もっともっと女性が必要だと思うんです。例えばテレビ番組でも何を発信するのか、女性が決定権を持たなければ、それが男性向けのものばかりになることもあります」

さらに、「ダイバーシティコミティー(委員会)と婦人会の廃止」「ケアエコノミー」と、次々に熱を込めてコミットしていくメラニーさん。「ダイバーシティの経済効果」というテーマでは、「単なるD&Iという意味だけではなく、生産性を上げていかなければ」と力説します。教育、女性のコミュニティ、フェムテックなど、多様な角度から前向きな未来が掲げられました。

参加者へのアドバイスとして、日本の投票率の低さを憂いての「投票すること」、そして読書や旅行などでグローバルな視点を持つことの重要性を語ります。メラニーさん自身の次の目標は、第二の故郷である八戸への恩返し、新たな住まいを建てている八ヶ岳でのコミュニティづくりなど。スライドにあった「老人ホーム探し」という言葉については、「これは、(スライド作りを手伝った)息子のいたずらです。これをスピーチの最後にさせていただきます」と、ユーモアたっぷりに締めくくりました。

マイノリティだからこそ身につけたレジリエンスで前進する

メラニーさんのスピーチを受け、「チャーミングな息子さんですね」と、楽し気に登場したのは、株式会社イー・ウーマンと株式会社ユニカルインターナショナルの代表取締役社長である佐々木かをりさんです。ここからは、カジュアルなトークショーが繰り広げられていきます。

佐々木さんが「日本で起業してよかったことは?」と尋ねると、「女性で、外国人であるというマイノリティだったことで、レジリエンスを身につけることができました」という凛とした答えが返ってきました。佐々木さんも、「私たちは今日まで生きてくるなかでいろいろなことがあったのですが、そこでしなやかさを持つことはとても大切」と、深くうなずきます。

参加者から「日本は失敗が許されない社会。海外ではどうですか?」と質問が投げかけられると、メラニーさんは「日本の社会は非常に親切だけれど、失敗についての厳しさは本当にショッキング。私は何度も失敗していますが(笑)、そもそも何が失敗で何が成功かはわかりません」、佐々木さんからも「日本では成功がとても細い道のりで、そこから違うところを歩んでいると失敗と言われる。成功の定義が、『元気で毎日仕事をしている』『今日も前向きな提案ができた』ということでもいいのでは」と、温かく力強い答えが返ってきました。

「知恵も経験もある日本の女性が、大いに活躍することを期待しています」とメラニーさん。佐々木さんも「今日学習したことを含めて、自分の明日をきちんとつくっていくことが幸せだと思うので、私たちもしっかりと日々、続けていきましょう」と、参加者にエールを送ります。この後のネットワーキングでも学びをしっかりと共有し、ダイバーシティのために確かな一歩を踏み出したひとときとなりました。

メラニー・ブロック
(Melanie Brock)
株式会社 Melanie Brock Advisory
代表取締役社長

日本を拠点に活動する国際的なビジネスリーダーであり、アジア太平洋地区及び日豪両国を中心に様々な業種においてビジネスコンサルタントとして活動。長年にわたり日豪関係の推進に尽力しており、豪日交流基金や、主要な豪日経済団体であるAJBCC(豪日経済委員会)などの重要な組織でも指導的な役職を担ってきた。
現在は、豪日経済委員会理事会役員、ANZCCJ(在日オーストラリア・ニュージーランド商工会議所)名誉会頭、オーストラリアNSW州ビジネス・シドニー・アンバサダーに就任するとともに、セガサミーホールディングス株式会社 社外取締役、豪州政府機関 アドバンス・グローバルアンバサダー、Tanarra社 グローバルアドバイザリーボード、三菱地所株式会社 社外取締役も務めている。

佐々木 かをり
株式会社イー・ウーマン 代表取締役社長
株式会社ユニカルインターナショナル
代表取締役社長

ダイバーシティの第一人者。1996年から日本最大級のダイバーシティ会議「国際女性ビジネス会議」を企画・プロデュース、2000年から「イー・ウーマン」サイトを中心にダイバーシティ関連のコンサルティングおよび研修・講演。組織の多様性と成長性を分析する「ダイバーシティインデックス」を開発。また、内閣府男女共同参画会議、厚生労働省をはじめ多くの政府審議会等の委員を務める。世界銀行「女性起業家資金イニシアティブ(We-Fi)」日本代表。日本代表としてAPEC、OECD等国内外での講演も通算1,700回以上。これまで東京大学、上智大学など複数の大学、高校等で教鞭を執る。また、「アクションプランナー」と佐々木メソッドによる時間管理術は日本の時間管理・手帳ブームをつくり毎月の講座も「人生が楽しくなる」と人気。テレビ朝日「ニュースステーション」レポーター、TBS「CBSドキュメント」アンカーなど歴任。現在もテレビ、雑誌、新聞等のコメンテーターを務める。2009年ベストマザー賞受賞。2021年「ブルガリ アウローラ アワード2020」受賞。神奈川県横浜市生まれ。上智大学外国語学部比較文化学科卒業。米国ニューヨーク州エルマイラ大学に留学。2008年名誉文学博士号授与。2児の母。