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セミナー

TOKYO女性経営者塾 by N E W
第1回「コロナ時代の経営戦術~ネイルサロン経営の事例から」

日時 2021年7月28日(水)15:00-17:00
講師 株式会社ノンストレス 代表取締役
坂野 尚子
進行 株式会社イー・ウーマン 代表取締役社長
株式会社ユニカルインターナショナル 代表取締役社長
佐々木 かをり

コロナ禍の経験を、次のステップへの教科書に。
決してあきらめることなく、
「ゆびさきの、そのさきへ」走り続ける。

女性経営者に向けたテーマ型セミナー「TOKYO女性経営者塾 by N E W」。2021年度の第1回は、全国展開のネイルサロン「ネイルクイック」などを経営する(株)ノンストレス代表取締役の坂野尚子さんを講師に迎えました。あらゆるビジネスに影響を与えているコロナ禍。その中で、坂野さんが推し進めた経営戦略とは? ピンチをチャンスにするための、さまざまなヒントを教えていただきます。

自分のビジョンのために逆算したら、そこにビジネスがあった

「去年の4月、5月の緊急事態宣言では全店舗が休業になり、毎日、“倒産”という二文字が頭をかすめていました」と語る坂野さん。コロナ禍という試練の中でも、その表情は明るく、力強さにあふれています。まずはそのパワーの原点、起業への道のりをお話しいただきます。

大学卒業後、テレビ局のアナウンサーとして活躍していた坂野さん。その頃から、「人から指示を受けるより、自分でビジョンを打ち出して遂行する起業家になりたい」と考えるようになります。
「特派員としてニューヨークを訪れた際、当時の日本にはまだなかった気軽なスタイルのネイルサロンが賑わっているのを見て、こんな店を創業したいと思いました。自分のビジョンを成し遂げるために逆算したら、そこにビジネスがあったということですね」

その後、一念発起し、ビジネススクールでMBAを取得。外資系のコンサルティング会社を経て、1994年に「ノンストレス」を起業します。1996年には表参道で「ネイルクイック」1号店をオープンし、着実に店舗を増やしていきました。

クライシスを乗り切るためにスリム化に着手。“筋肉質”の経営へ

開業から25年。アメリカも含め67店舗まで拡大していた2020年、コロナ禍に見舞われます。
「リーマンショックなどさまざまなクライシスがありましたが、大変ではあってもどこかで先が見えていた気がします。それに比べて、今回は来年の今頃がどうなっているのかが見えない、そんなクライシスですね」

緊急事態宣言下で全店を休業に。その分、過去にない多大な赤字となりました。
「危機を乗り切るために、できることはすべてやりましたね。雇用調整助成金、家賃補助、給付金などを受けて、融資を確保。事業のスリム化にも着手しました。まず、17店舗を閉鎖して、著名人が来るほどに人気が出ていたニューヨーク店も撤退。リストラも行いました。これは本当に、25年間の中で一番つらかったことでした」

さまざまな苦難を経て坂野さんが目指したのは、スリムでありながら充実した “筋肉質”の経営体制です。
「店舗数は減っても、一つひとつに力をつけようと考えました。お客さまの満足と働く人の満足をさらに大きくするために、ネイリストの働きに歩合制で還元する給与制度も導入し、自立したプロ集団としての意識改革を進めていきました」

新メニューや社会貢献事業で、ピンチをチャンスに変える

店頭では、メニューの見直しも行われました。
「マスク、手袋、シールドの装着、検温やアルコール消毒など徹底したコロナ対策を行った上で、滞在時間を少しでも短くというお客さまのニーズに応えて、45分で仕上げる『エクスプレスコース』を新設しました」

さらに、社会に目を向けた事業にも取り組みます。
「このような状況だからこそということで、障がい者のアート作品とコラボしたネイルデザインの展開で、社会貢献事業をスタートしました。今後は自社のプロダクトのパッケージのSDGs対応なども考えています」
現在、売り上げはコロナ禍前に比べると80%に満たないものの、予算対比としては黒字で推移しているそうです。
「お客さまが戻ってきてくださっているのはありがたいことです。今は、いろいろな意味で新しい可能性があります。この講座に参加している方も日々戦っていると思いますが、とにかくやれることを全部やる、決してあきらめない。そんな気持ちで進んでいけば、道が開けるのではないでしょうか。ピンチをチャンスに変えるということを、皆さんと一緒にやっていけたらと思います」

コロナ禍を乗り切れば、大きなパワーが出てくるはず

セミナーの後半は、佐々木かをりさんが進行を務めるトークショーです。コンサルティング会社と通訳・翻訳会社を経営する佐々木さんから、「自分の目が行き届かない全国展開の店舗経営ならではの課題は?」などと問いかけ、議論が深まっていきます。

参加者からも次々と質問が投げかけられました。「セルフネイル商品が広がっているが、これは脅威、それとも協業?」という問いかけには、「ライバルではなく、ネイル市場を広げる仲間という意識で取り組んでいます」と坂野さん。さらに「新事業をする場合、どこまで挑戦し、どこで撤退とするのか」という質問には、ご自身がフィットネス事業などに進出し、撤退を決断した経緯を詳しく語ってくださいました。

「すごく詳細に、リアルに教えていただきました」と佐々木さん。「赤裸々に語ってしまいました。ここだけの話です(笑)」と、坂野さんも笑顔を見せます。「つらいことはすべて、次のステップへの教科書になります。だから、何も損していないんです。今回のコロナ禍も、これを乗り切ればものすごいパワーが出てくるはず」という坂野さんの言葉に、佐々木さんもうなずきます。

「経営について、こんなお話をしてくださる先輩がいるというだけでも本当に感謝したいですね。今日のお話をぜひ経営に活かしていただきたいと思います」と佐々木さんが締めくくり、コロナ禍に負けずに前進する多くの仲間たちとともに、第1回目のセミナーが終了しました。

坂野 尚子
株式会社ノンストレス 代表取締役

国際基督教大学を卒業後、フジテレビアナウンサー、NY特派員を経て、コロンビア大学MBA修得。外資系コンサルティング会社KPMGでディレクター勤務後、94年から(株)キャリア戦略研究所起業。その後、96年「ザ・クイック」(05年1月より「ノンストレス」に社名変更)を設立。全国展開のネイルサロン「ネイルクイック」とその姉妹店の「ネイルパフェ」、「スパネイル」を経営。NYにも2013年に店舗を開店したが、コロナで、2020年5月に閉店。「ネイルパフェジェル」のジェルメーカーとしても事業展開中。著書に「女三十歳、ひとり海を渡る」(あき書房)、「女性の知らない7つのルール」(訳・ダイヤモンド社)、「キャリアカウンセラーが教える“いい仕事”ができる女性」(PHP文庫) など。講演多数。

経済産業省 産業構造審議会 委員
神奈川県なでしこブランド審査員
2018年 日本スパ・ウエルネス協会 IPSN栄誉賞受賞
国際基督教大学 評議員

佐々木 かをり
株式会社イー・ウーマン 代表取締役社長
株式会社ユニカルインターナショナル 代表取締役社長

ダイバーシティの第一人者。1996年から日本最大級のダイバーシティ会議「国際女性ビジネス会議」を企画・プロデュース、2000年から「イー・ウーマン」サイトを中心にダイバーシティ関連のコンサルティングおよび研修・講演。組織の多様性と成長性を分析する「ダイバーシティインデックス」を開発。また、内閣府男女共同参画会議、厚生労働省をはじめ多くの政府審議会等の委員を務める。世界銀行「女性起業家資金イニシアティブ(We-Fi)」日本代表。日本代表としてAPEC、OECD等国内外での講演も通算1,600回以上。これまで東京大学、上智大学など複数の大学、高校等で教鞭を執る。また、「アクションプランナー」と佐々木メソッドによる時間管理術は日本の時間管理・手帳ブームをつくり毎月の講座も「人生が楽しくなる」と人気。テレビ朝日「ニュースステーション」レポーター、TBS「CBSドキュメント」アンカーなど歴任。現在もテレビ、雑誌、新聞等のコメンテーターを務める。2009年ベストマザー賞受賞。2021年「ブルガリ アウローラ アワード2020」受賞。神奈川県横浜市生まれ。上智大学外国語学部比較文化学科卒業。米国ニューヨーク州エルマイラ大学に留学。2008年名誉文学博士号授与。2児の母。

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