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レポート

第5回 NEW CONFERENCE
女性経営者等の活躍に向けた会議 ~女性社長が動かす東京の未来~

分科会2:売り上げ1億円を目指して
1億円という数値目標を立てたきっかけ、
そして達成のためのアクションとは

「この分科会は、唯一“1億円”という具体的な数字がテーマの中に含まれています」と口火を切ったのは、ミライ経済Lab.株式会社代表取締役で公認会計士の神田千鶴氏です。神田氏の進行で、このセッションのポイントとなる目標数値を目指した理由や道のりなどを話し合っていきます。

2013年5月に株式会社エニタイムズを創業した代表取締役の角田千佳氏は、日常の手助けを求める人とその依頼に応える人をつなげる、スキルのシェアリングエコノミープラットフォーム「ANYTIMES」を同年にリリースしています。「私の事業の場合は、NPO、フリーランス、個人事業主など色々な選択肢がありました。ですが、持続可能なものにしていくために、ある程度の売上目標の設定をし、株式会社として始めることにしたというのが、最初のきっかけです」

2010年に起業、現在は法人向けの女性活躍・ダイバーシティ推進や行政・大学向けのキャリア教育を展開するスリール株式会社代表取締役の堀江敦子氏は、「私たちが1億円を目指すようになったのは、実は2019年から2020年くらい、本当に最近です」と語ります。
「なぜその時期なのかというと、マーケットが開いたからなんですね。起業した12年前は、まだ世の中にキャリア教育やワークライフバランスという言葉自体も浸透していなかった時代なので、当時のミッションとしては売上よりも、まずはミッションを認めてもらうことの方が目的。それで、具体的な売上目標をあえて決めない形でした」

2010年創業、AIのコアの技術である機械学習のための学習データを作っている株式会社バオバブでは、障がい者や家庭内ケアラーなど、フルタイムで仕事をすることが難しい方々が活躍しています。目標の数値について、代表取締役である相良氏は「3年目、5年目、7年目というふうに段階がありました」と語ります。
「会社のインパクト評価基準をつくったのですが、その過程のインタビューで、パートナーの皆さんからもっと仕事をしたいというお声を聞き、より強くギアを入れる段階になっているというのが今です」

それぞれの発言に共感し、何度もうなずく登壇者たち。続いて神田氏が「では、この目標を達成するためにどのようなアクションを?」と、議論を進めていきます。
堀江氏は「半年に1度の頻度で、ビジョン合宿というロングミーティングをスタッフ全員で行います。どんな会社にしたいのか、社会にどんなインパクトを与えていくのかなどをみんなで一緒に考えながら、組織づくりをする、全員経営を大切にしています」と語ります。
「もう、共感しかありません。弊社もまさにその状態です」という角田氏は、5年ほど前にオフィスを解約し、フルリモートワークの体制としたことが大きいといいます。

「里帰り出産した社員や、一時帰省している外国人社員が仕事をしたいと話が出ていたこと、あとはコストを下げたいというリアルなところもありました」
相良氏が語るのは、「バオパート」と呼ばれるAIの学習データを制作するパートナーとの関係です。
「22カ国以上、障がいの有無など、色々なバックグラウンドの方がいらっしゃるので、納期は具体的な日にちを決めるなど、コミュニケーションのガイドラインを設定しています。もうひとつは社内のコミュニケーションツールであるSlack 上に何でも話せる『ぺちゃくちゃチャンネル』を置いています」

さらに、今まで大変だったことやストレスの解消法、学びへの投資などへと話題が展開していきます。参加者からは「効率化のためにどうしても社員を辞めさせなければいけない場合、本人に話すときに最も意識をする点は?」「1億円を目指すことで見えてくる景色は?」「売上を伸ばすにあたり、事業の柱をもう一つ増やすなどの考えはある?」などの質問があり、一人ひとりがそれぞれに具体的な事例を挙げながら答えていきました。

最後に、登壇者から参加者へのコメントをいただきます。
角田氏は「固定観念に捉われないということが非常に大事というのを日々感じています。自分自身いつも自問して生きています」、堀江氏は「ビジョンやミッションを大切にしていきながら、その実現に向けてぜひチャレンジもしていただきたい。共に頑張っていければと思います」、相良氏は「最近、ある金融機関に『女の子の会社でしょ』と言われて、10年以上会社を経営しているのに、まだこんなこと言われるのかと思いましたが、くじけていては全然だめですね。自分なりのストレス解消の仕方を見つけて、しぶとくやっていきましょう」と、力強いエールを送りました。

「今日は貴重なお話、貴重な機会をありがとうございました。この時間が、皆さんの気付き、学び、そしてエネルギーチャージの時間になったのであればうれしく思います」と参加者に語り掛ける神田氏。1億円という数値目標を持つことの意味、目指す道のりについて、リアルな体験や想いがしっかりと共有されたセッションでした。

相良 美織
株式会社バオバブ 代表取締役

2010年に株式会社バオバブを創業。2011~2014年、独立行政法人情報通信研究機構に「わくわく創造担当」として勤務。音声認識技術を採用した障聴者と健聴者とのコミュニケーション支援アプリ「こえとら」の研究開発などに携わる。バオバブは創業以来、機械翻訳エンジン用対訳、画像アノテーション・タグ付け、音声タグ付け等学習データ構築サービスを、Carnegie Mellon UniversityやNTT東日本など日本/海外の法人・研究機関に提供。2013年 AAMT(Asia-Pacific Association for Machine Translation)長尾賞受賞。2015年 言語処理学会代議員就任。2017年 総務省情報通信審議会情報通信技術分科会技術戦略委員会次世代⼈⼯知能社会実装WG 構成員に就任。2019年 東京都女性ベンチャー成長促進事業 APT Women 第4期採択。2019年12月 富士製薬工業株式会社 社外監査役就任。2020年 Google for Startups Accelerator採択。2021年11月 東京女性経営者アワード受賞。

堀江 敦子
スリール株式会社 代表取締役

2007年日本女子大学社会福祉学科卒業。立教大学大学院経営学研究科(博士前期課程/リーダーシップ開発コース)修了。大手IT企業勤務を経て2010年25歳で起業。仕事と子育ての両立を体験するインターンシップ「ワーク&ライフ・インターン」の事業を展開。経済産業省「第5回キャリア教育アワード優秀賞」を受賞。現在は、“女性活躍から始めるサスティナブル経営の支援”をコンセプトに、法人向けの女性活躍・ダイバーシティ推進、研修・コンサルティング、行政・大学向けのキャリア教育を展開している。内閣府 男女共同参画会議専門委員、厚生労働省 イクメンプロジェクト委員、こども家庭庁設置法案等準備室委員など行政委員を多数経験。著書に『新・ワーママ入門』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)がある。

角田 千佳
株式会社エニタイムズ 代表取締役

慶應義塾大学法学部政治学科卒業。新卒で野村證券株式会社に入社し、株式・債券等の営業に従事する。その後、株式会社サイバーエージェントにてPRプランニング業務の経験を経て、”豊富な幸せの尺度を持った社会の実現”を目指し、2013年5月に株式会社エニタイムズを創業。同年末に、日常の手助け需要のある人とその依頼に応えて多様な働き方をしたい人を繋げるスキルのシェアリングエコノミープラットフォーム「ANYTIMES」をリリース。2019年10月には、複合型シェアサロン「Qnoir」を青山にオープンし、株式会社Qnoirの取締役も務める。一般社団法人Startup Lady協会理事、株式会社アドベンチャー(東証マザーズ上場)の監査役、株式会社スマサポの社外取締役も務める。

神田 千鶴
ミライ経済Lab.株式会社
代表取締役
公認会計士

小学生の時に父が脱サラして町工場を経営し始め、中学生で工場の手伝いをしながら経営を体感するも、その後、工場閉鎖を経験。高卒で地元大阪のスポーツメーカーに就職し、営業職で5年間従事したのち大学へ進学。卒業後、経理職にて外資系企業を転々としながら公認会計士試験を受験。2005年に合格し、有限責任監査法人トーマツへ入所。国内監査部にて法定監査、J-SOX導入支援、IPO支援に従事するほか、人材育成本部も兼務し、企業向け経営・会計研修の開発と講師も務めた。監査法人内で優秀講師を表彰するFaculty Award 2018を受賞。2018年12月に監査法人を退職して起業し、現職では、ベンチャー企業、NPOに対して会計を中心に経営を多面的にサポートしている。また「女性活躍」に対する各企業の対策は、当事者が置き去りにされていると違和感を抱き、働く女性のパーソナルメンター制度を立ち上げ悩める女性たちをサポートしている。

開催日時 2022年11月28日(月)13:00-18:30
会場 完全オンラインでの開催(ZoomとYouTubeによるライブ配信)
対象 企業・団体の代表者、経営者層、個人事業主など(男女不問)
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